「あー、そうですね。可もなく不可もなく、といったところでしょうか。チカは、陛下の噂をきいていますよね?」
「ええ、ジーク。世間一般的な噂はきいています」
「『獅子帝』というカッコいい異称のことですか?」
「ええ、シュッツ。たしかにカッコいい異称ですね」

 カッコいいことはカッコいい。

 だけど、それはお話に憧れる少年にとっては、である。

 彼に関わる人は、そうは受け止めないでしょう。とくに彼の敵は。「獅子帝」だなんて、彼の敵にとっては恐怖の対象でしかない。