「レディ、落ち着きましたか?」

 右側の青年が尋ねてきた。

「ぼくの台詞をとられた」

 左側の青年がつぶやいた。

「はやいもの勝ちだ」
「そうなの? では、レディ。ハンカチは、ぼくのを使って下さい」
「いいえ。レディ、おれのをどうぞ」

 二人は、両脇から馬ごとぐいぐい迫ってくる。