クラウスに借りている牝馬は、すっごくかしこい。かしこいどころではないわね。

 わたしがメソメソ泣いているのを気遣ってか、前を進む二頭の馬についていってくれている。

 しばらく泣き続けると、少しだけ気分が落ち着いてきた。

 そこでようやく、道のない木々の間を進んでいることに気がついた。

 クラウスが言った若き将校二人が先に進み、わたしがそのすぐうしろをついていっている。

 彼らが連れている軍とは違う制服を着た騎兵たちは、ずっとずっとうしろからついて来ている。

 涙は、とまったというよりかは枯れ果てたと思った。それなのに、まだ一滴、二滴と涙が頬を伝う。