「ね、ねえ、みんなそろそろ帰ろうよ。私たちはとりあえず大丈夫だって分かったんだし……」


と、サクラちゃん。

時計を見ると、既に20時を過ぎていました。

辺りもすっかり暗くなり、学校からは人気が消えていました。

文献を調べるのに少し熱中しすぎたようです。


「明日はみんなで市立図書館に行きましょ。あそこの方が蔵書も多いし、サトリについて、もう少し何か分かるかもしれないわ……」


私たちは連れ立って学校を出ました。

ですが、校門を潜ってすぐ―ー、


「あ、ごめん……」


サクラちゃんが苦笑しながら、


「ごめん、あたし、図書室にケータイ忘れたみたい。ちょっと取ってくるから待っててよ」


嫌な予感がしました。

彼女を一人にしてはいけない気がしたんです――。


「大丈夫だって。あたし、援助交際とかしてないからさ」


ですが、私の心配をよそに、サクラちゃんは笑って駆け出していきました。

マーヤちゃんも苦笑しながらいいます。


「心配ないよ、リョーコ。悪いことはそんなに立て続けに起こらないよ」