きら×うさ〜想いがつながる7日間〜

金の夫婦の卵になるには、いつだって偽りがあっちゃダメなんだ。

歓迎会の時や特訓の時みたいに、心から楽しんで、心から笑ってなきゃ意味がない。

だって七海夫婦が求めているのは──。


「キャッ!」


夢中で走っていたら、足を滑らせて転倒した。

あれ……? ここどこ……?

周りを見渡すも、遊具らしき物が見当たらない。

とりあえず、来た道を戻って……。


「いっ……!」


立ち上がろうとしたけれど、足首に痛みが走った。

そんな、嘘でしょ……。

地図もなければ、スマホはリュックの中。連絡することも動くこともできない。

じわっと涙が込み上げてきて、視界が滲んでいく。

誰か、助けて……っ。


「菜々夏……!」


心の中で願ったその時、後ろで紫月くんの声が聞こえた。


「ごめん……! 怖がってたのに、無理させた」

「ううん。私のほうこそ、勝手に逃げてごめんね……っ」


ぎゅっと抱きしめられて、涙が頬を伝う。

息切れしてる……捜し回ってくれてたんだ。