月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


「ティナが望むなら、ビュシエールの外れの土地を買うよ。そこで月下草を育てながら俺と一緒に暮らそう?」

「えっ?! はっ?! え、えぇ〜〜?! な、何を……っ!! え? い、一緒に? 私と……っ?!」

 トールの盛大な爆弾発言に、ティナは頭の中がパニックになる。

 ──その言葉はまるで、プロポーズのようではないか……と。

「……あ。ごめん。つい本音が」

「本音? え?」

 トールは「……しまった」と呟いて手で顔を覆うと、すぐさま気を取り直すかのように、真剣な表情でティナの前に立った。

「──好きだ、ティナ。ずっと前から君だけが好きだった。順番を間違ってしまったけれど、これからもずっと俺と一緒にいてほしい」

「……っ!!」

 夜空に浮かぶ金色の月と同じ色をした瞳が、じっとティナを見つめている。

 ──それは、ティナを逃さないというトールの強い意志が籠っているようで。

 きっと、トールはティナが逃げ出したとしても、全てを見渡す月のようにティナを見つけ、追いかけてくるのだろう──何度も何度も。

 そんなトールの強い想いと、ずっと聞きたかった言葉が聞けた嬉しさで、ティナの胸が歓喜に震える。

 トールが昔からティナだけを想い続けてくれていたことを、誰よりも知っていたのは自分自身なのだから。