月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 今までティナ一人で行ってきた聖霊降臨祭が、実際は神官が100人以上いてようやく成し遂げられるレベルだという事実に直面し、大神殿の人々はその事実を重く受け止めた。

 そうして、さまざまな意見が飛び交い混迷しながらも、大神殿は大きな決断を下したのだ。

 ──今後、聖霊降臨祭を行わない、と。



 大神官を始めとした神官たちの祈りの声が、大聖堂に響き渡る。
 参列を許された王族たちも神官たちと同じように、神に祈りを捧げていた。

 ちなみに王族たちの中にフレードリクの姿はない。
 彼は国を危険に晒す事態を引き起こしたとして王位継承権を剥奪、王族からは名前を排除され、身一つで辺境の地に送られたのである。

 大聖堂中の人間が神に祈りを捧げる中、大神官が腕輪の魔石を祭壇に捧げ、結界発動の術式を展開すると、大魔法陣から放たれた光が王都を包み込んだ。

 大聖堂の外から、人々の喜ぶ声がこだまして、儀式が成功したことがわかる。
 これで一年間は結界が王都を守ってくれるだろう。

 ──だがしかし、とオスカリウスは思う。

 きっと今日から大神殿と王宮は慌ただしくなるはずだ。