月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。


《この実の一つ一つに精霊が宿っているわ》

《光が満ちたら精霊が生まれるのよ》

《ルーアシェイア様が力を分け与えているの》

 ティナは泣いてばかりではいられないと涙を拭うと、自分の気を引き締めた。
 精霊たちが手伝って欲しいと言うのだから、この精霊樹に何か問題があるのだろう。

「もしかして、ルーアシェイア様の力が弱まっていることが、精霊樹にも影響しているんですか?」

 ティナは精霊たちが置かれている状況を理解した。これまでの話をまとめてみると、自ずと答えは見えてくるのだ。

《そうよ。精霊がなかなか生まれてこなくなっちゃったの》

《このままでは精霊の数が減り過ぎちゃうわ》

《そうなると世界中に瘴気が溢れちゃう》

「えっ……?!」

 精霊と瘴気が関係あると知ったティナは衝撃を受ける。
 何故なら精霊を否定しているラーシャルード教の教えは、瘴気を溢れさせることと同義だからだ。