月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 まるでトールヴァルドを守る見えない力が働いているかのようだ、と公爵は感じた。そうしてトールヴァルドは見えない何かに守られながら成長していく。

 公爵の目に、トールヴァルドがまるで化け物のように映ったのは必然で。

 そんなトールヴァルドが成長していくにつれ、公爵は焦燥感に襲われる。
 それはトールヴァルドが優秀で、彼を認める貴族の家門が日に日に増えていったから、というのもある。

 このままではトールヴァルドに王太子の座を奪われてしまう、と思われたある日、運良く公爵家の手の者が側妃を暗殺したのだ。

 側妃の訃報に国中が騒然となり、国王が悲しみに暮れている隙をついて、公爵の派閥は王国の実権を握ることに成功する。

 ──残るは邪魔者のトールヴァルドを抹殺するのみであったが、側妃の侍女に邪魔をされトールヴァルドは行方を眩ませてしまう。

 激怒した公爵は闇の世界の人間にコンタクトをとり、思いつく限りの暗殺者ギルドにトールヴァルドの暗殺を依頼する。
 その依頼料は天文学的数字に昇ったが、確実に王国を手に入れられるのなら、と思うと苦にならなかった。