月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 エルフは精霊と親和性が高い種族だと聞いたことがある。ハーフといえど、エルフの血が流れているノアであれば、精霊と交流出来そうなものなのだが……。

「まぁ、昔にな。精霊を研究しようとして……ごにょごにょ」

「…………」

 好奇心旺盛なのか、ノアはその昔精霊を捕まえて実験をしようとしたらしい。どんな実験だったのか聞くのが恐ろしいが、精霊の怒りを買うぐらいだから、きっと碌でもなかったのだろう。

「……まぁ、そういう訳でワシゃ森の奥には行けんのじゃ」

「なるほど。精霊に嫌われたら湖に辿り着けないんですね……」

 ティナはアデラに教えてもらった言葉を思い出す。

『──もし精霊に気に入られたら、月下草を分けて貰えるかもしれないよ』

 どうやら月下草を見つけるためには、精霊との関わりが必要条件のようだ。きっと栽培する場合でも、精霊の協力は必要不可欠かもしれない。

「嬢ちゃんは精霊王の湖を探しておるんじゃな? 何しに行くんじゃ?」

「あっ、それはですね……」

 ティナはノアに月下草のことを打ち明けた。両親が栽培場所を見つけようと旅をしていたことも。