月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「そうじゃ。倉庫丸ごと魔法を掛けて保存しておるのじゃよ」

「なるほど……。あ、美味しい! このお茶美味しいです!」

 ノアが大量に購入するほどだから、さぞかし美味しいお茶なのだろう、と思い飲んでみると、すっきりとした風味の中に、ほのかな甘みを感じる。
 確かに、このお茶ならいくらでも飲んでしまいそうだ。

「そうかそうか、美味いか! そりゃ良かったわい。何なら少し分けてやろうか?」

「え? いいんですか? でも、残り少ないんですよね?」

 木箱で5箱はめちゃくちゃ多いが、ノアにとっては残り少ない量だと思ったティナは、分けてもらうのを躊躇った。

「このお茶以外にもあるでな。一瓶ぐらいなら全然かまわん」

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせていただきます」

 ティナがお礼を言うと、ノアは満足そうに頷いた。同じ嗜好の人間がいて嬉しいのだろう。

「ふぉっふぉっふぉ。嬢ちゃんには特別に倉庫を見せてやろうな。こっちゃこ」

 機嫌が良さそうなノアがティナを奥の扉へと誘う。そして扉を開けると、中はこの家とは比べ物にならないほどの広い空間が広がっていた。