「いんや? 東のハポン国から取り寄せた茶葉じゃよ?」
「は? え?」
ティナはてっきりノアが俗世から離れ、森の中で自給自足しているものだと思っていた。しかしそれは勘違いだったようで、ノアは森の外と中を往復しているらしい──と思われたのだが……。
「この森に腰を落ち着かせようと決めた時にな、10箱ぐらい持って来たんじゃよ。木箱で」
「ぶふぉっ?!」
ノアの言葉にティナは思わずお茶を吹き出しかけた。幸い、何とか堪えることが出来たので、周りに被害が及ぶことはなかった。
「え? 木箱で、ですか?」
木箱に入るほどの茶葉は商団が所有する量だ。しかしノアは個人で10箱も持って来ていると言う。
「そうじゃ。ちびちび飲んでおるが、もう後5箱ぐらいしか残っておらんのじゃ」
ノアは残念そうに5箱と言うが、1箱でも人が一生をかけて飲むには十分な量のはずだ。しかも飲み切る前に茶葉が痛むかカビが生えてしまう。
「まだ5箱も……。あ、時間停止の魔法を掛けてるんですね」
空間拡張の魔法が使えるのなら、付随して時間停止の魔法も使用しているのだろう。



