月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

「なんじゃ。<聖獣>だと知らんと連れておるのか? それにしてもまだ幼い<聖獣>とは……こりゃまた珍しいのう」

 ノアは興味深そうにアウルムを眺めている。当のアウルムは意味がわかっていないのか、きょとん、としている。

「えっと、アウルムは<聖獣>なの……?」

『んんー? 何それー。わかんないー』

 まだ幼いからか、アウルムも自分のことをよく知らないらしい。

「ほうほう、意思の疎通まで出来るとは大したもんじゃ。随分親和性が高いんじゃなぁ」

 ノアがティナとアウルムを見てうんうんと頷いている。何か納得したようだ。

「まあ、ここで立ち話もなんじゃし、お茶でも飲みながらゆっくり話さんか? ほら、中に入った入った」

「あ、はい……お邪魔します……?」

 ノアに促され、ティナはあれよあれよと小屋の中に導かれた。
 本来なら警戒すべき場面なのに、何故かノアに警戒心は湧いてこない。それにアウルムが何も言わないので、彼に悪意はないと思われた。

 小屋の中は外から見るのとは違い、随分快適そうだ。
 テーブルにキッチン、さらにその奥にはいくつかの扉が見える。