月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 ティナは小さい光をそっと両手で包み込むと、自身の魔力を注ぎ込んだ。

 すると、消えそうだった光は輝きを取り戻し、小さかった光も大きくなった。

 ティナはそんな様子に、光が元通りになったのだと何故か理解した。

 元気になった光は、嬉しそうにティナの周りをくるくる回ると、すうっと飛んでいって消えてしまった。

 光を見送ったティナは、光が行きたかった場所へ向かって飛び立ったのだ、とわかり嬉しくなったのだった。




 * * * * * *




『ティナー! 起きてー! ごはんよー!』

「……ふぇっ?! え? ご飯……?」

『そうだよー! 外に人がいるよー!』

「え? 人?」

 アウルムの言葉の意味をティナが理解する前に、部屋の扉がノックされた。

「だ、誰っ……?!」

「あっ! あの、食事の用意が出来ましたけど……っ」

 ティナが警戒しながら返事をすると、戸惑った女の子の声が聞こえてきた。どうやらルリが食事の用意が出来たと伝えに来てくれたようだ。

「え、あ、ごめんなさい! すぐ行きますね」

「はい、食堂に来られたらお声掛けくださいね」

「うん、有難う」