どうして両親がそこまでして月下草を探していたのかはわからない。けれど、大好きな両親の夢を、娘である自分が引き継ぐのも良いかもしれない、とティナは思い立ったのだ。
だけど月下草は”幻の花”と呼ばれるほど希少な植物だ。栽培方法は未だ解明されておらず、自生している場所も秘匿されているので、その生態は謎に包まれている。
「うーん、ティナの気持ちはわかるけれど、月下草の栽培は不可能とされているんだよ? せめて自生場所が見つかれば話は変わってくると思うけどねぇ」
ベルトルドが難色を示すのも無理はない。この世界はまだまだ未知の領域がたくさんあり、危険な魔物もたくさんいるのだ。
「じゃあ、両親が巡った場所を辿るのなら良いですか? 私、両親が最後に訪れたクロンクヴィストに行ってみたいです。隣国なら危なくないですよね?」
ティナは両親が亡くなってから十年間、ずっとこの国から出たことがなかった。
小さい頃の記憶は朧気で記憶もなくしているため、ティナにとっては初めての外国のようなものだ。
「そうだなぁ……。ティナがやりたいことなら出来るだけ応援してあげたいけど……」
隣国であるクロンクヴィストとこの国セーデルルンドは交易が盛んで、商人や旅人の行き来も多い。乗合馬車を利用すればまず危険はないだろう。
だけど月下草は”幻の花”と呼ばれるほど希少な植物だ。栽培方法は未だ解明されておらず、自生している場所も秘匿されているので、その生態は謎に包まれている。
「うーん、ティナの気持ちはわかるけれど、月下草の栽培は不可能とされているんだよ? せめて自生場所が見つかれば話は変わってくると思うけどねぇ」
ベルトルドが難色を示すのも無理はない。この世界はまだまだ未知の領域がたくさんあり、危険な魔物もたくさんいるのだ。
「じゃあ、両親が巡った場所を辿るのなら良いですか? 私、両親が最後に訪れたクロンクヴィストに行ってみたいです。隣国なら危なくないですよね?」
ティナは両親が亡くなってから十年間、ずっとこの国から出たことがなかった。
小さい頃の記憶は朧気で記憶もなくしているため、ティナにとっては初めての外国のようなものだ。
「そうだなぁ……。ティナがやりたいことなら出来るだけ応援してあげたいけど……」
隣国であるクロンクヴィストとこの国セーデルルンドは交易が盛んで、商人や旅人の行き来も多い。乗合馬車を利用すればまず危険はないだろう。



