だからベルトルドは考えた。「よし、この国を見限ろう」、と。
とは言っても、ティナがこの国にいる限りここから離れる気は無かった。
ティナがこの国に残ると言うのなら、業腹だがこの国で彼女を見守ろうと決めていたのだ。
しかし、そんなベルトルドの決意を踏み躙るような事件が発生する。──そう、バカ王子と愚かな令嬢が引き起こした婚約破棄と称号剥奪事件だ。
正直、ティナが自由の身になったことは大変喜ばしい。
だがしかし、だからと言ってティナに汚名を着せたことだけはどうしても許せない。
ベルトルドはティナを取り戻そうと神殿と王宮が動く前に、ティナを匿い新しい身分を与え、この国から離れさせようと考えた。
そして準備も恙無く進み、あとは護衛を決めて出発するのみという時、それは現れた。
「初めまして。私はトールと申します。ご高名はかねがね承っておりました。お会いできて光栄です」
ティナに伴われ現れたのはトールと名乗る学院の生徒で、ボサボサの髪にくたびれた制服を着ている、すごく冴えない少年だった。



