月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 トールはティナが眠っている内に、ギルドの職員に事情を説明することにした。

 商団と一緒に王都を目指していた途中、魔物に襲われたこと、偶然通りかかった冒険者に助けられ護衛して貰ったこと、今度は盗賊達に襲われたが、護衛してくれていた冒険者に逃がされ、森の中を彷徨っていたこと──。

 トールは自分のこととティナの力のことを隠しながら、今まであったことを説明した。

 ギルドの職員は殺された冒険者がヴァルナルとリナで、眠っている少女が彼らの娘のティナだと知るや否や、大慌てで王都のギルド本部へ連絡を入れた。
 きっとヴァルナルが言っていた、ベルトルドという友人が駆けつけてくれるだろう。

 職員に事情を説明し終えたトールは、ティナの様子を見に部屋に戻る。そっと扉を開けると、ティナのうなされている声が聞こえてきた。

「うぅ……っ、う……っ」

「ティナ……」

 両親を失ったと知らされ、目の前でトールが殺されるのを見たティナは、酷く心を傷つけられたようだった。
 おそらく眠っていても悪夢を見続けているのだろう。