月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 ティナはトールの言葉に素直に頷いた。両親たちのところに行きたいと駄々をこねるかと思ったが、幼いながらにも何を優先すべきか理解しているのだ。

 トールは改めてティナの頭の良さに感心した。ヴァルナルたちからたくさんのことを教えられて来たのだろう。

 そうしてトールとティナは、隠れていた場所から出て、街がある方向へと急ぐ。

 ──しかし子供の考えることなど、大人たちにはお見通しだったようで、ティナとトールは街までもう少し、というところで、ついに追っ手に捕まってしまう。

「やっと見つけたぜ……ったく、手間かけさせやがってよぉっ!!」

「こっちの小さい方はどうする? 言われた通り殺すか?」

 トールたちを捕まえたのは暗殺者ではなく、盗賊崩れの男たちだった。どうやらトールを探すために、暗殺者たちとは別に行動していたらしい。 

「ん〜〜、そうだなぁ。ただ殺しちまうのも勿体ねぇな。奴隷商にでも売るか?」

「おお! そうしようぜ! こちとら徹夜で探してんだし、深夜手当ということで!」

「へへっ、いいねぇ! さっさとこいつを依頼主に渡して飲みに行こうぜ!!」