月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 イロナの話を聞いたティナは驚いた。トールも同じように驚いていたが、その情報元が占いなのだと逸早く気がついたらしい。

「ええ、その通りよ。お客さんを占っていると、どの人にも<スリサズ>や<ハガラズ>の石が出るの。<スリサズ>は棘や茨を意味していてね。これから困難なことが起こるという暗示よ。そして<ハガラズ>は変革や崩壊ね」

 おかしいと思ったイロナがセーデルルンド王国について占ってみると、予測不能な出来事が起こり国が困難に向かうという結果が出たという。

「だから私達一家はセーデルルンド王国を出る決心をしたのよ。それで、移住先はどこが良いか占って、クロンクヴィストに決めたの。<イングズ>──豊かさや豊穣を現す石が出たし、隣の国で移動が楽だしね」

 イロナの「予測不能な出来事が起こり国が困難に向かう」という言葉に、ティナの心は不安でいっぱいになる。