月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

 雰囲気は王都のギルド本部がある市場に似ていた。しかし、道を歩いている人が身につけている民族衣装や、店で売られているものは異国情緒が感じられ、見新しいもので溢れ返っている。

 ティナはようやく、自分が隣国クロンクヴィストに到着したのだと実感したのだった。




 * * * * * *




 国境のすぐそばにある街ヘールスで、ティナたちとモルガン一家は宿をとることになった。
 まだ目的地であるバルテルスまで暫く掛かるので、旅の物資を補充するのも兼ねている。

「じゃあ、ちょっと出掛けて来ますね」

「気をつけて行ってらっしゃい」

「おう! ベルトルドさんによろしく伝えてくれや!」

「はい!」

 ティナとトールは滞在する宿から出て、ヘールスの街へと繰り出した。
 行き先はヘールスにある冒険者ギルドだ。

 ちなみにアウルムにはアネタのお守りをお願いしている。
 人が多い場所に連れ出すと、国境の審査官が言っていたように、良からぬ輩に目を付けられて厄介なことになりそうだったからだ。

「それにしても人が多いよね。あちこちの国から来てるのかな」