月下の聖女〜婚約破棄された元聖女、冒険者になって悠々自適に過ごす予定が、追いかけてきた同級生に何故か溺愛されています。

(……私から離れるなんてさせない、許さない──!)

 アレクシスにとって、クリスティナだけが唯一無二の聖女なのだ。
 自分の全てを捧げても構わないと思うほどに、その気持は強い。

 だからクリスティナのそばで、彼女を守れるのは自分だけだと、そう思っていたのに──!!

 ──そうして、クロンクヴィストへ向かう道中、アレクシスはありえない量の魔力が行使されるのを感じた。
 クリスティナとは違う魔力のそれは、アレクシスが無視できないほどであった。

(一体何が起こっている?!)

 アレクシスが魔力を辿ってみれば、そこにはずっと探し求めていた最愛の人がいた。

 しかし、その人の横には見知らぬ男がいて、二人が寄り添っているように見えたアレクシスは逆上してしまう。

『我が力の源よ 我が手に集いて 輝ける光の弓となれ <ルクス・アルクス>!!』

(相手が誰であれ、クリスティナ様には触れさせない──!!)

 アレクシスはクリスティナといる男に向かって、光の矢を放つ。
 闇を引き裂くように光の矢が、まっすぐ男に向かっていく。

 突然の攻撃に避けられるはずがないと、確信していたアレクシスだったが、その男は魔法を感知し、クリスティナを抱き込みながら倒れるように回避した。

「クリスティナ様っ!!」

 男を弾き飛ばすはずが、クリスティナを押し倒す様子に、アレクシスは慌てて馬から飛び降り、彼女のもとへ駆け寄った。