「瞬くん…あのさ」

しばらくして、ためらいながら明日香が口を開く。

「私は、もちろんアイドルでもなんでもないし、芸能界のことも分からない。瞬くん達がどんなふうにここまで頑張って来たのかも、これっぽっちも分かってないと思う。そんな私が瞬くんに言えることなんて何もないのかもしれない。でも、でもね…」

明日香は顔を上げて瞬の顔を覗き込む。

「歌って踊ってる時の瞬くん、ものすごくカッコイイの。カッコイイなんて簡単な言葉じゃいけないな。でもね、よく分からないけど、目が離せなくなるの。なんでだろう?私、歌も踊りも詳しくないのに。瞬くんからは、ものすごく奥深い人間性みたいなものが感じられる。それが瞬くんの魅力なんじゃないかな?普段は、そうね、お世辞にも愛想がいいとは言えないし、笑ってーなんてカメラマンさんに言われてもニコリともしないし、歌番組のMCさんに話を振られても、ひとことボソッとしか返事しないし…」

「…おい」

どこまで言うんだとさすがに瞬が口を挟むと、明日香はふふっと笑う。