トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜【書籍化】

「あ!明るい!」

そう言って明日香がホッとした瞬間、正面の鏡に映る自分の姿が目に入る。

瞬に抱きつき、へっぴり腰の自分は、木から落ちそうなサルみたいだ。
おまけに顔は、泣きじゃくったあとの幼稚園児に見える。

(…え、ええ?!嘘でしょ、私ったら!)

慌てて瞬から離れると、エレベーターの隅に立ち、何事もなかったかのように1階のボタンを押す。

「はあ?」
呆れた声を出す瞬に、
「あ、ドア閉めます」
と言って、クローズボタンを押した。

ウイーンとエレベーターが下がるかすかな音がする中、はぁと瞬のため息が聞こえた。