気が付くと、大きな腕に包まれていた。
守られている気がして、ようやく明日香は落ち着きを取り戻す。
「ふう、やっと静かになった。いいか、もう騒ぐなよ。鼓膜が破れる」
「は、はい。すみません」
「じゃあ行くぞ、っておい。そんなにまとわりつくな!歩けん!」
「だ、だって、怖くって…」
また騒ぎ出すと思ったのか、瞬は、分かった、分かったから!と慌ててなだめる。
「じゃあ、ゆっくり歩くぞ。いいか?せーの、いち、に、いち、に」
「いち、に、いち、に」
念仏のように唱えつつ、明日香はピタリと瞬に張りついたまま歩く。
体が密着しているせいで、前向きには歩けず、カニのように横歩きになる。
「ったくもう、なんでこんな事する羽目になったんだ」
瞬のそのセリフは明日香には聞こえていないらしい。
ひたすら、いち、に、と繰り返している。
守られている気がして、ようやく明日香は落ち着きを取り戻す。
「ふう、やっと静かになった。いいか、もう騒ぐなよ。鼓膜が破れる」
「は、はい。すみません」
「じゃあ行くぞ、っておい。そんなにまとわりつくな!歩けん!」
「だ、だって、怖くって…」
また騒ぎ出すと思ったのか、瞬は、分かった、分かったから!と慌ててなだめる。
「じゃあ、ゆっくり歩くぞ。いいか?せーの、いち、に、いち、に」
「いち、に、いち、に」
念仏のように唱えつつ、明日香はピタリと瞬に張りついたまま歩く。
体が密着しているせいで、前向きには歩けず、カニのように横歩きになる。
「ったくもう、なんでこんな事する羽目になったんだ」
瞬のそのセリフは明日香には聞こえていないらしい。
ひたすら、いち、に、と繰り返している。



