「おい!」
「ギャー!」
いきなり目の前に現れた顔に、明日香はひっくり返りそうなほど驚いてのけ反った。

「ちょっ、お前っ!危ない!針!」
「え、キャー、ごめんなさい!」

驚いて手を上げた拍子に、針を振り回してしまっていて、再び焦った声を上げる。

ハアハアと肩で息を繰り返したあと、何事かと明日香は顔を上げた。

目の前に立っていたのは、サザンクロスの瞬だった。
いつものように仏頂面だ。

「ったく。なんでそんなに驚くんだよ」
「え、だ、だって。急に目の前に…」
「急じゃない!何度も声かけたっての!」
「ええー?ほんとですか?全然気付かなかった…」

そう言って手元に目をやった明日香は、ああ、いつもの様に没頭しちゃってたんだと心の中で呟いた。