トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜【書籍化】

「ねぇ、佳奈ちゃん。12月12日に追っかけなの?その、えっとサザンクロスの」
「うん、そう。前に明日香が付いて来てくれたテレビ局にね」
えっ!と明日香は絶句する。

確かに12日は、そのテレビ局でリハがある。
コットンキャンディもサザンクロスも。
だが、どうしてそれを佳奈が知っているのだろう…

「へ、へえー、そうなんだ。その日も生放送の歌番組があるの?」
とぼけて聞いてみる。

「ううん。その日はなくて、次の日が特番なの。でね、普段の歌番組なら当日のリハだけだけど、その特番は2時間あるから、前日リハもあるんじゃないかって、ファン友の掲示板で話題になってて。昔からの古いファンの人がそう言ってるから、信憑性あると思うんだ。何時に出てくるかまでは、誰も分からないみたいだけどね」
「そ、そうなんだ。それで佳奈ちゃん、行くの?時間も分からないのに?」
「うん。夜の8時か9時くらいじゃないかって思ってて。でもそれより遅くなるなら、諦めて帰ると思う。寒いしね」
「そうだよー、そんな寒空の下、夜遅くまで。おうちの人も心配するよ?」
「まぁね。でももし、ひと目だけでも見られたら嬉しいなー」

佳奈は両手を組んでうっとりとした表情になる。

「これからの季節、特番とかあって、テレビでたくさん見る機会があるから、嬉しいんだー!」
「そう、そっか。良かったね」

しどろもどろになりながら、明日香は心の中で考えた。

(すごい、すごいわ。アイドルの追っかけってこういう事を言うのね)