トップアイドルの恋〜好きになってもいいですか?〜【書籍化】

「そろそろスタジオに移動して下さーい。スタンバイお願いしまーす」

やがてADらしきスタッフの大きな声が、廊下から聞こえてきた。

「よーし!みんな今日も頑張ろうね!」
3人は円陣を組む。
「うん!フェアリーテイル初披露!」
「せーの!ガンバ!」

とびきりの笑顔で顔を見合わせる3人の後ろで、明日香も気合いを入れる。

(私もしっかり!頑張るぞ!)


「宜しくお願いしまーす」

そう言いながら、広いスタジオに入る3人の後ろを、邪魔にならないようそっと明日香は付いて行く。

左側には、ずらっと大きなカメラが並んでおり、クレーン車のようなアームが伸びるものもあった。

明日香は思わずそちらに気を取られそうになったが、いけない!と気を引き締めて3人のそばに寄る。

「それでは、出演順に整列お願いします!1組目、ジャック・イン・ザ・ボックスの皆さん。2組目、藤原わたるさん、3組目、コットンキャンディの皆さん」

はーい!と言いながら3人は前に歩み出る。

今日の出演者は5組。
7時になると照明と音楽で番組がスタートし、まずはMCが簡単に挨拶する。

そして後ろの大きなセットの階段から、今日の出演者が順番に下りてくる。

10年以上続く人気番組で、芸能界に疎い明日香でも何度か見たことがあった。

今は、階段の裏側に出演者が並んで待っている状態だった。