次は居酒屋でのシーン。

秀は、順調な企画書の仕上がりを喜び、仕事仲間とワイワイ盛り上がっていた。

途中トイレに行こうと席を立った秀は、通路脇のカウンターに、紗耶香と達也が並んでいるのに気付く。

なんだ、来てたのか…

呟きながら2人に声をかけようとした時、達也の驚いた声が聞こえてきた。

「え?じゃあお前達、付き合ってなかったの?」
「うん、そうよ」
「高校の時も?今も?」
「そう」

思わず秀は、通路の横の大きな柱に隠れた。

「なんだー。俺てっきりあの頃、紗耶香は秀と付き合ってると思ってたよ。他のやつらもそう言ってたし。まぁ、その後卒業して、なんとなく別れちゃったのかなと思って、詮索しなかったけどさ。で、半年前にみんなで再会して、そこからまた付き合い始めたんだろうなって」
「ううん、それも違う」
「なんで?だって2人で出かけたりしてたんじゃないの?」
「それはそうだけど。でも告白されたり付き合おうとか言われた訳じゃないの。高校の時も、今も」

へえー、そうだったんだ…

と、頭の後ろに両手を置いて、少し天井を眺めていた達也が、再び口を開いた。