「陽子さん。それで今考えてるのは、マジシャンの黒のジャケットなんですけど、中にノースリーブのベストも作りたいんです。曲のどこかでジャケットを脱いで、肩に掛けても素敵かなって」
「ひぇー、明日香って、結構大胆な発想するのね。ノースリーブのベストって、かなり大人っぽいよ?」
「あ、もちろん3人にも聞いてみますし、優子さんや事務所の方の意見もありますよね。でも…」

そこで言葉を切って、明日香は陽子を見据える。

「たとえ陽の目を見ることはなくても、ベストはちゃんと作りたいんです。見えない部分だからって、手は抜きたくないです」

しばらく瞬きしたあと、陽子は頷いた。
「オッケー。ベストのデザインもしっかり考えましょう!」
はい!と明日香は嬉しそうに返事をした。