「それで?その楽しみにしてたドラマがどうかしたの?何で佳奈ちゃん、泣いてるの?」
「だってだって…ずっとドラマに見入ってたら…最後に瞬…キスしたの」

えっっ!と明日香は絶句する。
とたんに、あの日の事が頭に浮かぶ。

(キス…瞬が…最後にキス…)

まるで自分の事を言われている気分になり、明日香はたじろいだ。

「そ、そ、そうなんだ。そんな事が…それで佳奈ちゃん、ショック受けたの?」
「そりゃそうよ。でもね、よくよく思い返してみると、すごく絵になるワンシーンだったのよ。惹かれ合うようにいつの間にか顔を寄せて、ごく自然にキスしたの。一瞬うっとりしちゃって…でもドラマが終わった途端、ええー?って現実に戻ってさ。ああ、瞬が…」

そう言ってまた涙を浮かべる。