世界一戦いがいのない口喧嘩に勝った私は、軽い足取りでthe女子の空間へと足を踏み入れた。
大の甘党総長は実に不本意そうに顔を歪ませつつ、私の歩幅に合わせて歩みを進める。
いや、わかってるんだよ。
青葉薫がめちゃくちゃ優しくていいやつだってことくらいさ。
スクランブル交差点では私の前を歩いて盾になってくれてたし、今は私のペースに合わせてくれてるし。
私たちを繋いでいるコレだって、罰とかふざけつつもこの前みたいなことが二度と起こらないようにしてくれてるんだと思う。私が逃げられないように、敵たちにアピールするために。
だけど、シンプルに恥ずかしいんだよ!
青葉薫の脳みそに羞恥心って言葉は登録されていないのか!
女子しかいない空間で自分が浮くこの感覚……恥ずかしさを覚えればいい!!
「……うざ」
ぽそっと落ちた2文字を私の耳が拾った。
声がした方を見れば、俯き加減の唯くんが刺々しい雰囲気を放っている。
機嫌が地の底の様子。唯くんが大好きな私は慌てるしかない。



