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『どこに行きたいかはお前が決めていいぞ。なんせ、どこに行ったって絶対俺が隣にいるからな』


 その堂々とした態度がムカついたので、やってきました。


「……最悪。ここ女子しかいないじゃん」

「さすが桂木さん。嫌がらせのレベルが高いね」

「人聞きが悪いな、笹羅くん。私はここでショッピングがしたいだけだよ」


 渋谷駅から徒歩数分にある、女子たちの流行りの先端を集めたビル。地名+3桁の数字のあの有名な商業施設。


 訪れるお客さんの9割5分が性別女である。


 人口密度も高め。男子向けのものは置いていないからきっと店内を見てもつまらない。


 私に同行しているイケメンたちはさぞ苦痛なことだろう。


 ……入口で既に、女子の視線という視線をかき集めていることだし。不良の分際でムカつくな!


「地下には生クリーム缶があるらしいよ」

「今すぐ行くぞ」

「嫌。まずは上へ向かって全フロアを見て回る。地下は最後」

「なんで」

「私の気分」

「ふざけんな」

「どこに行きたいかは?」

「……お前が決める」

「よし」