「守り切れなくてごめん」

「いやいや、守ってくれたでしょ! 瞬殺でかっこよかったし、さすが総長さま!」


 青葉薫がマジのトーンだからこそ、私はあえて軽い口調で返した。


 そうしたら、いい感じにバランスが取れて、重たい空気も怖かった記憶もどっか行ってくれるかなって思ったから。


 でも、なにもかもお見通しの青葉薫は表情を崩さない。いつもみたいな、どや顔を作らない。


 私の微かな震えを止めるように、温かい手で両方の手を包み込んでくれた。


「お前を危険にさらしてしまったことに変わりはない」

「おおげさだな~! なになに、今更私の前でかっこつけてんの? あ、『守月』の姫だから傷ついたら体裁(ていさい)が悪いとか!」


 この空気で普段のおふざけはさすがに度が過ぎたらしい。


 殺意はもちろんないものの、キッと鋭く睨まれた。……ごめんなさい。


 それからおそらく呆れのため息を大きく一つ。