「ふっ、顔真っ赤」

「うっさい! あんたのせいでしょ! 責任取れ!」

「責任取れって……撫子は欲しがりだな」

「ちっがう!!」

「これがちわげんかってやつか~」


 桐山の言葉にまたもやハッとさせられ振り返ると、生暖かい目2つと嫌悪を帯びた目1つがあって。


 ……なんで私がそんな目で見られなきゃいけないんだよ!


 変な空気を作ってるのは青葉薫の方だろ!!その目をやめろ!!


 と言ったところでこの空気がなくなる気はしない。むしろ、青葉薫にもっと揚げ足を取られる気しかしない。


 私が取るべき最善の策、それは。


「ごちそうさま! 美味しかった!」

「あ、撫子!? ダメだよ!!」

「桂木さん! 護衛がいないから止まって!」


 物理的にあの空気から逃げ出すこと。


 後ろから慌てて投げられる制止を振り切り、いろんな意味で甘ったるいお店を飛び出した。


 みんなで私をおちょくるから怒ったもんね!バイクじゃ通れない道を通って逃げ切ってやる!


 私は、自由だー!!