「おばさん、帰ってきたぜっ!」

 私の家に入ってすぐ、玄関に立つ奈緒くんは大きな声で叫んだ。


「元気だね……」


 ひさしぶりに我が家へ足を踏み入れて喜んでるみたいだけど、私には不安要素があった。

 中学生の時に仲の良い友人がいなかったから、家へ誰かを招き入れたことなんてない。

 ましてや、異性の同級生と交流さえなかった。


 小学生の時は自分の家みたいに、お互いの家へ行き来してたけど……

 幼なじみだったとはいえ、自分の部屋へ男子を入れるなんて……


「あれ? 誰もいね~の?」


「台所で夕食の支度をしてたら、声は聞こえないかも……」


「じゃあ、姫乃の部屋に行こうぜ」


「ちょっ、ちちちょっとまって!」


 いきなり私の部屋へ行くとか言ってるし、なんでそうなるのよ!

 奈緒くんが私に接する態度は小学生の時と変わらない。



 私たち、いちおう高校生なんだからね。