放課後。


沙織は委員会で遅くなるからと、私一人で先に帰ることになった。


沙織は小、中、高と一緒に通っている幼なじみだ。


一人で帰るのはなんだかんだ久しぶり。


少し慣れてきた通学路を歩きながら夕焼けに染まる空を見上げる。


この辺カラス多いのかな。


建物や木の上にカラスがたくさん止まっていた。


それにしても高校入学してからカラス見る機会増えたなぁ。


前は一ヶ月に数回見るくらいだったのに。
飛び立つカラスを眺めながら歩いているとそのうちの一羽が私に付いてきていることに気付いた。


少し離れたところまで飛んでは電柱で止まり、また飛んでは止まる、を繰り返している。


どうしたんだろう?


そう思いながら歩いているとそのカラスは私の家の近くで再び止まったあと、どこかへ飛び去っていった。


なんか護衛みたいなカラスだ。


まるで私が無事に家に帰るのを見てたみたい。



「……まさかね」



たしかにカラスは記憶力が高いというけど、私がどこに住んでるかなんてわかるわけないよね。


今のカラスが昔助けたカラスだったら。


なんて考えてしまったのは沙織には内緒にしておこう。