「(生吹くん、私がこうなる事を予想していたのかな……?だから急に連絡先なんか……。

いや、それよりも。肝心な生吹くんに連絡とれないんじゃ、どうしようも、)」



考えに耽っていた、その時だった。



「あーらら~」

「ッ!」



耳の近くで大きな声が聞こえて、思わず顔を上げる。

そして、目が合ってしまった。



「おはよーさん。魔女さん?」

「……っ」



いくら周りが暗いといっても、これだけ近い距離にいれば見えてしまう。

派手に開けたピアス。右に四つ、左に三つ。髪は金髪。制服は着崩して、見た目からして不良なこの人……。



「俺は新島ってんだ~。なぁ魔女さんよ、噂は本当?」

「う、わさ……っ?」



いきなり迫力のある顔が近くにあって、私は完璧に固まってしまった。

怖い……、何、この人……っ?

だけど、逃げたくても逃げられない。

私の両手は、体の後ろで一つに縛られていた。

何も出来ない、ただ、震える事しか……っ。