嵐のような人だった。
出会ったことのないタイプというか。
「でも、一緒にいると元気になれそうな。そんな人だったな」
そんな事を思っていると、ビュンと突風が吹いた。
「わぁ、寒いっ。
屋上だから風が強いなぁ」
両手を、胸の前でギュッと握り締める。
ゆるく擦って、摩擦で温めた。その時に、さっき純弥先輩に言われたことを思い出す。
「“ 私は私。魔女なんかじゃない” 。
そんなこと、初めて言われたなぁ」
擦ったからか、それとも、純弥先輩の言葉が嬉しかったのか――
私の手は、だんだんと温もりを取り戻していくのだった。
◇
そして、昼休み。
いつもの旧ゴミ捨て場に行くと、既に生吹くんが待ってくれていた。
「美月」
「あ……」
昨日、男子二人組の事があったから気まずい。
だって、生吹くんから逃げるように教室に帰っちゃったし。ろくに挨拶もしなかった。



