最強王子とフェンス越しの溺愛キス


嵐のような人だった。
出会ったことのないタイプというか。



「でも、一緒にいると元気になれそうな。そんな人だったな」



そんな事を思っていると、ビュンと突風が吹いた。



「わぁ、寒いっ。
屋上だから風が強いなぁ」



両手を、胸の前でギュッと握り締める。

ゆるく擦って、摩擦で温めた。その時に、さっき純弥先輩に言われたことを思い出す。



「“ 私は私。魔女なんかじゃない” 。
そんなこと、初めて言われたなぁ」



擦ったからか、それとも、純弥先輩の言葉が嬉しかったのか――

私の手は、だんだんと温もりを取り戻していくのだった。








そして、昼休み。



いつもの旧ゴミ捨て場に行くと、既に生吹くんが待ってくれていた。




「美月」

「あ……」



昨日、男子二人組の事があったから気まずい。

だって、生吹くんから逃げるように教室に帰っちゃったし。ろくに挨拶もしなかった。