「僕ね、キレイな物が好きなんだよ」
「き、きれい……?」
「そう!美月ちゃん、とってもキレイでしょ?正直、魔女の噂は、僕は毛ほども興味なくて。
でも、この前!美月ちゃんと廊下ですれ違ったんだよ!覚えてる!?」
「す、すみません、見てませんでした……っ」
人とすれ違う時は、視線を下げて歩いている。
だって、皆が目を合わせたくないのに、顔を上げて歩くのも、なんだか申し訳なくて……。
「もったいない!美月ちゃんは超絶可愛いのに、なんで自分を隠すの!
もっと堂々としてて!美月ちゃんは美月ちゃんだよ!魔女なんかじゃないから!」
「ッ!」
自信なさげに俯いてた顔を、パッと上げてしまう。
だって、あまりにも嬉しくて……。
そんな温かい言葉を同じ高校の人に言ってもらえるなんて、思ってもみなかった。



