「サボらせちゃったねぇ。ごめんね」
謝りながら俯いた純弥先輩。少しだけ長い髪がサラリと揺れて、隠れていた耳が露わになる。
耳まで白い。
だけど、その耳に金色で輝く「三日月」。
純弥先輩は、片耳に三日月のピアスをしているようだった。
「わ、私は大丈夫ですから。
それより……お話って?」
授業に遅れたものは仕方ない。
それに私は、授業よりも純弥先輩の「話」の方に興味があった。
「大事な話なんだ、聞いてくれる?」
「……はい」
純弥先輩はゴクリと生唾を飲む。真剣な先輩の面持ちを見ると、私の体にも力が入った。
「(何を、聞かされるんだろう……っ)」
向かい合って、お互いに見つめる。
そして、ついに純弥先輩の唇が動いた。
「僕ね、」
「は、はい……っ」
「僕ね美月ちゃんの事が好きなんだ」
「……へ」
だけど、
それは思ってもみなかった話で。
「……えぇ?」
私の刺激的な毎日の始まりとなったのだった。



