「あ、あの、生吹くん――ッ」




口を開けた、その時。




ブブ




バイブの音がする。

生吹くんのスマホからだ。



「あ、ちょっとごめん。たぶん一輝だ。電話に出てもいい?」

「え、あ、うん。もちろん!」



すると生吹くんは席を立つ。

その間に料理は運ばれ、私は手をつけないまま、彼の帰りを待つ……予定だった。


だけど、



「あ!」



自分が持ってきた荷物たちを見る。



「そうだった、一輝くん……!」



とある事を思い出す。



そして、急いで生吹くんの元へ向かうのだった。