「き、れい……っ」
目をキラキラさせてツリーに釘付けになっている私の横で、生吹くんは店員さんにサラッと私の分までオーダーしてくれる。
その事に気づかない、残念な私。
だけど、そんな残念な私を見て、生吹くんは嬉しそうに笑った。
「良かった。このお店に当たりの席があるって噂があったけど、ここだったんだね」
「そ、そうなんだ……っ」
「そこにハンガーがある。美月、コート貸して?あと、料理は適当に頼んだけど、何か追加注文したかったら、このタブレットで注文できるんだって。はい、タブレット」
「あ、ありがとう……ごめん、私何もせずに、」
タブレットを受け取りながら、申し訳なくなる。だけど、生吹くんは首を振って「ううん」と笑った。
「これだけ喜んでもらえると、俺も嬉しいから」
「~っ」
ニコリと笑ってくれる生吹くんを見ると、
「(もしかして……)」
って思っちゃう。



