「こ、この音……私?」



ちょっとばかりとぼけると、生吹くんは笑っているのを隠そうとしながら。

でも、その実――全く笑いを堪え切れない顔で、返事をした。



「たぶん、そうです」

「ッ!」



レア……。
生吹くんの丁寧語、レア!
しかもはにかんでる!かわいい…っ。


彼氏彼女になって、もっと壁がなくなれば……、こういう時にカメラで撮るのに。たぶん生吹くんは「もう、撮らないの」とか言いそうだけど、でも、何だかんだ許してくれそうで……。



「(付き合うって、いいなぁ……)」




そんな事を思っていると、私たちは席に案内される。




「こちらです」

「(う、わぁ……ッ!)」




そのカフェは個室で、そして――外に大きく立っているクリスマスツリーを一望できる特等席だった。