「“ あかめくん”は本当は私の事、好きでいてくれたのかな……」
無意識のうちに出た、初恋の人の名前。
あかめくん――
この名前を出した途端、二人の表情が急速に変化した。全体的に怖くなってる……。
「お礼参りしないとね。そのあかめくんとやらに」
「今回ばかりは君に同感だよ。ほんと、」
バカな男だよね――
そう零した純也先輩が、私を見ながら笑った。
「だから美月ちゃん、もう心配しないで。この世の中で美月ちゃんを嫌いになる男なんていないんだから。
そのあかめって子も、絶対美月ちゃんの事が好きだよ」
「好きで、いてくれたんでしょうか……?」
「うん、絶対。僕が保証する」
「!」
力強く頷いてくれる純也先輩。
私の心に張り付いていた「癖」が、少しづつ剥がれていくようだった。



