「そいつじゃ当てになんないよ。むっつりスケベなだけかもしれないでしょー?」
「(す、スケベ……っ!?)」
「じゃあお前は、美月が魔女だって言いたいのかよ」
生吹くんが眉間にシワを寄せる。だけどそれは、純也先輩も同じだった。
苦しそうな顔をした後、私を見る。
「僕ね、美月ちゃんがどうして人の顔色を読むようになったかっていうのも、知りたいんだ」
「――へ?」
「何かきっかけがあって、そういう癖がついたんだろうけど。そのきっかけを教えてくれない?」
「きっかけ……」
私の手は、完璧にフォークから離れた。そして両手揃って、膝の上で静かに並んでいる。
「きっかけ、は……」
誰にも話したことのない、私の恥ずかしい記憶。それは、口にするのに物凄く抵抗ある。
だけど――



