「い、生吹くん?大丈夫?」

「うん、ごめん。何か今日、暑いね」

「え……そ、そう?」



確かに太陽の光は当たってポカポカはしてるけど……。



「風が冷たいよ……?」

「うん、そうだね……。
ごめん、忘れて」

「えぇ……?」



項垂れるように椅子に座る生吹くん。

訳が分からなかったけど、さっきよりも元気になった生吹くんが子犬のように見えて、なんだか少しだけ可愛くて。

昨日は、あんなに近寄りがたかったのに、今日は違う。



「(私、生吹くんと仲良くなれてるのかな?だったら、嬉しいなっ)」



優しい顔に、優しい性格。

春風生吹くんという人を、私は確かに「魅力的」だと感じていた。



「(ありがとう生吹くん。
私、今すっごく楽しいよ)」



心の中でお礼を言う。

そして、その後も二人。
他愛もない話をしてお昼を済ませた、



その時だった。




「えー、まじかよー」




遠くの方から、声が聞こえた。

その声は確実に私たちに迫っていて――

私は思わず、耳を傾ける。