最強王子とフェンス越しの溺愛キス




「……嫌でしょ?」

「な、なにが……?」



先に口を開いたのは生吹くんの方。そして彼の話す言葉に、私は目を丸くした。



「付き合ってもないのに、こんな小さな事でヤキモチ妬く俺なんて……嫌でしょ。普通ね」

「そんな、こと……っ」

「っていうか、自分で自分が嫌かな。こんな綺麗な美月には、これから何人もの男が寄ってくるだろうし」



その度にヤキモチ妬いて美月を困らせる自分が情けなくて嫌だ――



私を見ながら、時折、地面に視線を落としながら。生吹くんは、そう話してくれた。

自分の気持ちをストレートに伝えてくれた。それを聞いた私は、生吹くんが言うような「嫌」なんて感情は一つもなくて。


むしろ、



「(そんな事、思ってくれてたんだ……)」



って感激するほどで。


今まで魔女だと煙たがられてきた私を、まさか、こんな風に思ってくれる人が現れるなんて……。

信じられなくて、けど嬉しくて。思わず泣きそうになってしまう。