「(純也先輩の事で不機嫌になるなんて、まるで生吹くん、ヤキモチ妬いてるみた、い……。
え、ヤキモチ?)」
自分で予想した瞬間に、体がカッと熱を帯びる。ドキンドキンと、早いスピードで心臓が動き始めた。
まさか、生吹くんに限って私にヤキモチなんて、そんな事――と頭では思いながらも、話す声は期待で震えていた。
「純也、先輩は……」
そう言っただけなのに、生吹くんは更に不機嫌そうに眉間のシワを深めた。
「下の名前で、呼んでるの?」
「え……と、う、うん。純也先輩本人から、そう呼んでって言われたの」
「そっか」
私を見ていた瞳が、A校の校舎に移る。私が通っている高校。そして、生吹くんとは違う高校。
「俺も、A校だったら良かった」
「え……?」
ポツリと漏らした言葉が、私の耳に真っ直ぐ届いた。生吹くんの気持ちが、ストレートに私に伝わる――
「俺は美月と同じ一年なのに、同じクラスになることさえ叶わない。俺は……こんなに美月と一緒にいたいのに」
「っ!」
ストレート、過ぎて。
私の顔が、一気に赤くなった。



