最強王子とフェンス越しの溺愛キス



「やー!美月ちゃんじゃーん!!」

「!?」



私たちの前に現れる、真っ白な人物。

忘れるわけない、その目立つ容姿。



「純也先輩……!」



今日も上から下まで、ブレザー以外真っ白な純也先輩。

こっちの空気はお構い無しに「ヤッホー!」と私に近づいてきた。

だけど、


グイッ



「誰、あんた?」



私の前に生吹くんが立ちはだかる。私の手を強く、強く強く握り締めて。



「(生吹くん……っ)」



警戒してくれて、全力で守ってくれようとする生吹くんの背中。それを見ると、こんな時にも関わらず、思わずときめいてしまう。



「お前こそ誰〜?僕は美月ちゃんに挨拶を……って、あぁ!隣にいるのが誰かと思ったら、伊織じゃーん!」

「うげ……」


「(え、お知り合い、なの?)」



私にしたように笑顔で藤堂先輩に挨拶をした純也先輩。だけど当の本人の藤堂先輩は、露骨に嫌そうな顔をした。