すると汰生さんが「藤堂さん!」と、肩を強く揺する。すると藤堂先輩はハッと我に返った。



「あ、ごめんね。まさか魔女と噂される美月ちゃんが、ここまで美人なんて知らなくて。

魔女って言われるから、どんな子かと思えば。なんだ――

とっても美人な、ただの普通な女の子だったんだね」

「っ!」

「さっきはごめんね、やっぱり噂なんて信じるもんじゃない。君の魔女の噂は、できる限り俺が否定しておくよ。さっきの償いとして、顔が利く俺に是非させてほしい」

「え、で、でも……っ」

「俺に任せて、ね?」



ふわっと優しく笑って、藤堂先輩がそう言ってくれるものだから。気を抜いていた涙腺が、簡単に緩んだのが分かった。



「(優しい、人だ……っ)」



その時。

心配した生吹くんが、私の顔をのぞきこむ。



「美月、これで分かったと思うけど、この人たちは本当に、」



生吹くんの言葉を遮って、私は「うん」と頷く。

分かる。この人たちは違う。
優しい人だって分かる。
それだけで、安心する。



「(でも……)」



どうして生吹くんは、私にこの人たちを紹介してくれたんだろう?しかも、突然に。